
肩が重い。
腰が張る。
背中までかたくなっている。
そんなふうに、身体をほぐしても
また疲れる理由がわからないまま、
マッサージに通っている方は
少なくないのではないでしょうか。
疲れた身体を何とかしたくて、
マッサージに行く。
その日は少し楽になる。
けれど仕事が始まると、また身体はかたくなる。
だから、またほぐしに行く。
若い頃の私も、そうでした。
いくら身体をゆるめても、
またすぐに日常の緊張の中へ戻っていく。
その繰り返しで、
根本的には何も変わっていませんでした。
今振り返ると、私は身体だけを
何とかしようとしていたのだと思います。
けれど本当に必要だったのは、
身体をゆるめることだけではありませんでした。
心のほうも、いっしょにほどいていくこと。
それがとても大切だったのだと、
今は感じています。
身体をほぐしてもまた疲れる理由は、身体だけの問題ではない
私たちは、強いストレスを感じたときだけでなく、
日々の小さな緊張の中でも、身体に力が入っています。
誰かを心配しているとき。
言いたいことを飲み込んだとき。
急いで判断しなければならなかったとき。
そんなとき、肩が上がったり、
呼吸が浅くなったり、
首や背中がこわばったりします。
これは意志の力というより、
脳や神経の自然な反応に近いものです。
身体は、危険かどうかを頭で考える前に、
先に反応して身を守ろうとします。
その反応が続いていると、
筋肉はゆるみきれないままになります。
だから、表面のこりをほぐしても、
また元に戻りやすいのかもしれません。
身体をほぐしてもまた疲れる理由は、
こりの奥にある
緊張のパターンが続いているからです。
強い刺激で切り替えるほど、身体の緊張は戻りやすくなることがある
疲れがたまっているとき、
強めの指圧で
しっかり押してもらいたくなることがあります。
熱いお風呂や温泉に入って、
一気にゆるめたくなることもあります。
もちろん、それで楽になることはあります。
私もそういう時間に助けられてきました。
けれど振り返ると、
強いストレスで緊張した身体を、
今度は別の刺激で
解放しようとしていたのかもしれません。
張りつめたあとに、
一気にゆるむ。
また日常で緊張して、
また刺激で切り替える。
その繰り返しです。
刺激に慣れた神経は、
何も起きていない穏やかな状態を、
どこか物足りなく感じることがあります。
だから、緊張と解放の振れ幅が大きいほど、
落ち着いた状態に留まることが難しくなる。
以前の私は、
その揺れの中にいたのだと思います。
心がゆるむと、身体の緊張も少しずつ変わりはじめる
大切なのは、
無理に反対側へ振ることではなく、
その揺れの中心に
戻ってくることなのかもしれません。
音叉の響きに触れていると、
身体が先に反応することがあります。
何かを頑張って変えようとしなくても、
呼吸が少し深くなったり、
肩の力が抜けたりする。
そういう変化を見ていると、
人は安心できると感じたときに、
はじめて本当にゆるめるのだと感じます。
少しずつ落ち着いた状態に戻っていくと、
それまで必要だと思っていた刺激が、
前ほど必要ではなくなってきます。
なぜなら、
心地よさが特別なものではなく、
少しずつ基準になっていくからです。
静かな状態が
落ち着かないものではなくなり、
身体もまた、
刺激を求め続けなくなっていきます。
身体の緊張がほどけると、自然に動きたくなる力が戻ってくる
身体を無理に変えようとしない。
気合いで整えようとしない。
正しい状態に持っていこうと急がない。
そうして少しずつ緊張がほどけていくと、
止まっていたものが
静かに動き出すことがあります。
「やらなければ」ではなく、
「やってみよう」と自然と体が動く。
そこには、無理がありません。
それは頭で
自分を動かしているというより、
もっと奥から出てくる
自然な動きに近いものです。
その動きを抑え続けていると、
本来の内側の流れが滞って、
言い訳や不満という形で
表に出てくることがあります。
動けないことそのものより、
本当は動こうとしている力を
押さえ続けることのほうが、
苦しさになっていくこともあります。
身体をほぐしてもまた疲れるときは、心の緊張にも目を向けてみる
身体を整えることは、もちろん大切です。
けれどそれと同じくらい、
心の状態を見ることも大切なのだと思います。
何もせず、ただ在るとき、
心がずっと身構えていたことに
気づくかもしれません。
思考が静まるほど、
身体はゆるみ、心は安心します。
心の緊張がほどけるうちに、
外から何かを足さなくても、
自分の内側にある自然な流れが戻ってきます。
頑張って動くのではなく、
動きが自然に起きてくる。
そんな感覚に触れられると、
身体をなんとかし続けるループも、
少しずつ変わり始めるのだと思います。
必要だったのは、
頑張って変えることよりも、
安心してゆるめる時間だったのかもしれません。
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